五感に響く、言の葉。

登山とコーヒー

 

 

山のてっぺんでいただくコーヒーは格別だ。

 

重たいからだを引き上げ、

ようやくてっぺんについたら深呼吸。

呼吸をおちつかせ

アルコールランプでゆっくりとお湯を沸かす。

 

お楽しみの始まりだ。

 

冷たい透きとおった空気を肌に感じながら

小さなドリップにお湯をそそぐと、

あたり一帯に淹れたてのコク深いコーヒーの香りが湯気と一緒に立ちこめてくる。

 

「あ〜、この時間を待っていた」

 

やわらかい空気と濃厚な香りを全身で吸いこみ、

熱々のコーヒーをいただくと

まるで魔法にかけられたように心とからだの疲れがとろけていく。

 

雄大な景色をみながらゆっくりと過ごす時間は、

まだ登山の途中であることを楽しみに変えてくれる。

 

「さあ、次に登る山も想像しながら後半戦へ!」

 

山のてっぺんでのむコーヒーは、

せわしく過ごす日常にくれるエッセンスだ。