五感に響く、言の葉。

すべては感謝する心からvo.3<あさの千幸さんインタビュー>

 

フランスでの生活を終え、日本に帰国してからも多くの苦難があったとききます。

そんな中で2009年、目標であった自身のオートクチュールブランド「asanochiyuki」(ac.)が誕生。インタビューの中であさのさんは口癖のように「感謝しかないです」といいます。

その理由とは?

 

人のぬくもりに感じる感謝の心

 

ー フランスでファッションに携わる時間は修行苦行だったと伺いましたが、ぬくもりを感じるシーンはありましたか?

「たくさんありました。日本に一時帰国したとき、学生時代フランス人の女性の友人から『tu me manques』といわれて、辞書で調べたら『あなたが足りない』とあって、今でいう『〇〇ロス』のようなものでしょうか。当時の日本ではなかなかいわないことばなので、フランスならではの友情表現に素敵だなあとあたたかくなりました。また、お金のない学生の私に、ヨーロッパのベテラン技術者から応援していただき作品ができたり、まだひよっこクリエイター同士、お互いの得意分野をだしあって作品を制作したり。物々交換みたいな助けあいが日常にあふれていました。異国で一生懸命日々を過ごしていると、人種や国、年齢や性別関係なく人からいただけるあたたかさや幸せが身に沁みました。『感謝しかない』と思うのはフランスという異国の地でお金もなく、ことばの壁も大きく、やる気だけで活動していたときに助けてもらったことが、やはり大きいと思います」

 

ー やる気だけで活動していたときに、特にありがたいと感じた助けはなんでしょうか?

 「それは、私の作品のために金額に関わらず仕事をしてくださるクリエイターの匠たち。パタンナー、縫製、ヘアー、メイク、カメラマン、映像クリエイターなどです。あとは、フランスにある日本人会の人たちとの交流や日本食レストランの大将との交流など、ご縁を繋げてくださる人たち。学生のときもデザイナーのひよっこのときも、いろいろな人が関わってくださって、多くの人を紹介していただけるなんて感謝しかありませんでした!それは日本に帰ってきたばかりのときも独立起業したときも、今も同じです。仕事を依頼する側される側の立場に関係なく、一緒に仕事をできているご縁に感謝の気持ちがないと、相手に伝わり仕事の中に適当さや雑さがでます。私が感じるからこそ、何に対しても感謝の気持ちを持つように心がけています」

 

 

心の充実感とは

 

ー 心の充実感ってなんでしょうか?

「もう日々充実しています。たとえば、フランスでは洗濯物を室外に干す風習がなかったので、晴れた日に室外へ干した洗濯物を取りこむとき幸せを感じます。太陽の光をいっぱいに浴びた洗濯物の香りに包まれると、エネルギーをもらえます。大きな刺激がなくても日々ちっちゃい幸せを感じるから充実しています。それはフランスにいたときも同じで、カフェやマルシェにいくだけで幸せ。晴れた日はテラスでビールを飲めること、綺麗な公園やお城のような学校、アパートも街も何もかもがお洒落なので、ずっとアートな空間にいる感覚で日々幸せでした。いろいろな経験をし、すべて思ったとおり叶ってきたからこそ、毎日がすごく幸せだなって感じるのだと思います」

 

悩める人たちへ

 

ー 目の前に、ストレスを抱えて悩んでいる人がいたら、どういうことばをかけてあげますか?

「感謝の気持ちや、ちっちゃい幸せをみつけたほうがいいと伝えます。感謝の気持ちがないとストレスになる。ストレスをなくすのは、やはり相手にありがとうという気持ちを持つことかなと思います」

 

ー 心配ごとがあったときの解消法は?

「自分がなぜ、何に心配しているのか原因をさぐりますね。誰かに頼るのではなく、自分の脳みそをどう使うかですね。心配ごとを放ったらかしにすると、からだが壊れていくから考え方を変える。それを何度かくり返し学んでいく。心配ごとがあるから解消しようと考え、さらに追求することで成長すると思います」

 

ー 職場の人間関係に悩んでいる人に向け、何かメッセージをいただけますか。

「自分が楽しんでやっていたら、他人のいうことは全然関係ないというか、私もフランスにいたとき日々いじめにあっていましたが、『私はここでとどまらないからね』という気持ちがあったから、何をいわれても右から左にぬけていました。気にするというのは、自分がこれからどうしたいかが決まってないからか、楽しめていないか、そこで学びたいと思っていないか、何かやはり迷いがあるからなのだと思います。もう思いっきり楽しそうなところにいってみるとか、自分の興味のままに一回飛びこんでみるとか。『私なんてそこにはいけないだろうから』とやる前からできないと自分で決めつけ、無難なところにばかりに挑戦すると、結局つまらなくなる。少し高い目標であっても挑戦してみる。ダメならもう一回チャレンジしてもいいし、他に挑戦してもいい。もうちょっと視野を広げて、本当に自分にとって楽しいところにいってみる。そして全力で楽しむ。全力というのが大事です」

 

 

ー これからの目標は?

「ものづくりが好きなアパレルの技術者を集めて、オートクチュールの制作ができるチームをつくり、みんなで向上したい。丁寧、安心、愛を持てる人を増やしていきたいです。私も一緒になって学んでいきたいなと思っています」

 

インタビューを終えて

常に全力投球で想いのままに濃い人生を歩んできたあさのさん。どの時代でもあさのさんの強い信念を支えていたのは、自分も相手も大切にする心でした。あさのさんのこだわる質のよさとは、袖を通す人の未来にまで続いています。だからこそ、制作に携わる人や素材選びからあさのさんのこだわりははじまっているのでしょう。昨日まで「服なんて着ていればなんでもいい」と思っていた人が纏った瞬間にドキドキしたりワクワクしたりする服に出逢えば、「今の私ならなんでもできる」と意識までも変わっていく。

 

「あさの千幸」というデザイナーは、服をデザインしながら人の生き方までもデザインしているとインタビューを通して感じました。

ものづくりには人でなければ生みだせない魂が宿っていて人の手を介して伝わっていく。量産の服・物があふれる時代だからこそ、一枚に込められた重みを感じ、丁寧に扱う大切さをしっかり自分の心に刻みたい。あなたが服を選ぶとき、ふと「つくり手の想い」を感じていただけたら小さな日々の幸せが増えるかも知れません。

 

あさのさんのインタビューが

あなたの“もの選び”の新しい基準になれば幸いです。

 

オーダーサロン南青山店
 http://ac.asanochiyuki.com
新既製服ブランドKNIToDay
https://knitoday.jp/